移植外科医の米国臨床留学日記

2018年から米国中西部に臨床留学中。留学日記を中心に、関心のある医療トピック(移植外科、癌、肥満外科、予防医学) 趣味の筋トレ、ダイエット、書評、 中心に情報発信していくブログです。

Transplant News:Organ donation law in England is changing.

世界の臓器移植に関わるニュースを取り上げていきます。

 

心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓などの固形臓器移植のドナー不足は日本だけでなく、世界中で問題になっています。そんな中、イギリスで臓器提供に関わる法律が来年春から改正されることになり、議論をよんでいます。

(出典:https://www.organdonation.nhs.uk/uk-laws/organ-donation-law-in-england/

 

 

 

上記のツイートの通り、2020年春から英国では臓器提供拒否の意思表示がない限り、全ての成人が臓器提供に同意しているものとみなされます。【opt-out system】

例外とされているのは…

  • 18歳未満の方
  • 法改正を理解し必要な行動を起こす能力の無い方(精神発達遅滞のある方など)
  • 英国非居住者
  • 英国に居住してから1年以内に死去された方

上記の方はドナー登録の対象外となるようです。

 

今回の英国の改正法は、ドナー啓発活動に尽力した移植患者さん(と、その方のドナー)の名前をとって“Max and Keila's Law”とも呼ばれています。

 

https://www.organdonation.nhs.uk/helping-you-to-decide/real-life-stories/people-who-have-benefitted-from-receiving-a-transplant/max-heart-transplant-recipient-and-campaigner/

 

拡張型心筋症の診断で心臓移植が必要となり、移植待機リストに載ったMax君とその家族によるドナー啓発活動、また不幸にも脳死になりMax君に心臓を提供したKeilaちゃんの功績を讃えてこの名前がついたとされています。

 

日本でも臓器移植の報道は日常的にされていますし、免許証や健康保険証の裏面に臓器提供の意思表示欄があるので、大部分の人は臓器提供の選択肢について“知っている”と思います。恐らく、街頭インタビューやアンケートで聞かれれば、自分が脳死になった際には臓器提供をしたいと答える人が多いのではないでしょうか。しかし、いざ脳死患者さんが発生した際に一番問題になるのは、その患者さんが生前に明確な意思表示をしていないことが多いということです。これはせっかくの患者さんの善意を臓器提供システムが汲み上げられていないという点でとても残念なことだと思います。現在のように臓器提供への認知度が高まっている社会において、英国のようなOpt-outシステムを導入するのは臓器提供意思表示の社会的なコストを下げるという意味で大きな価値のある政策ではないでしょうか。