米国臨床留学日記: 腹部移植外科

2018年から米国中西部に臨床留学中。留学日記を中心に、関心のある医療トピック(移植外科、癌、肥満外科、予防医学) 趣味の筋トレ、ダイエット、書評、 中心に情報発信していくブログです。

31歳 移植医外科医見習い 臨床留学中 自分の現在地について考える

2018年8月から、臨床フェローとして研修を始めて4ヶ月が経過しました。元々移植外科医になることが目標で、臨床留学を目指していたわけですが、新しい家族ができたり、自分のやりたいことを考えたり、現実的な就職、給与のことを考えたり、色々考えると悩みはつきません。

 

卒後7年。

日本で初期研修、大学院を終え、一応外科専門医とPh.Dを取得してからの臨床留学。臨床フェローとして2年の勤務を終えた後は、家族と離れて米国に残るのか、それとも日本に帰って移植医療に携わる道を探すのか、日本に帰って別の専門でもう一度修練をしなおすのか。色々な選択肢がありますが、どれをとってもある程度やっていけてしまうのが医師免許の良いところでもあり、かえって踏ん切りがつかない理由でもあるのかなと。

 

(1)米国に残る場合

私はJ1ビザで渡米しているため、仮に就職させてくれる大学が見つかった場合でもビザの変更に関して弁護士を交えた手続きをする必要があります。また、移植外科医の就職市場も最近は飽和気味であり、米国の外科専門医を持っていない外国人がフェローからストレートでポジションを得るのは難しいようです。例えば、日本でも指導医クラスの手術の腕前があり、米国でも独立した移植外科医としてやっていける、とか。Ph.Dを持っていて自分でNIHグラントが取れるとか。何かしら、アメリカ人外科医に無い強みが無いと、ポジションを得るのは無難しい。僕は外科の後期研修+大学院という変則的な研修を終えて、移植外科医としては駆け出したばかりなので、この領域(アメリカ人に無い強みをもつ)に達するまでには、もう少し時間がかかりそうです。

 

(2)日本に戻って移植医療に携わる

日本に戻った場合、移植外科医として勤務できる環境は非常に限られてきます。肝移植は実施している施設が限られており、日本国内の症例数は年々減少傾向にあります。腎移植は施設数、症例数とも多いですが、日本における腎移植は外科ではなく、泌尿器科のDrが実施しているため、専門を変える必要があります。

 

(3)日本に戻って一般外科医になる

移植フェロー、臨床留学の経験をちょっとした語学留学だと割り切って、一般外科医に戻る道もあります。一般外科医に戻るなら、就職先も困りませんし、日本に帰ることで家族との時間もとれます。また、アメリカに家族を呼んだ際にパートナーのキャリアが中断してしまう問題もありません。

 

うーん。

どの選択肢も一長一短ありますね。

せっかくあと1年8ヶ月研修期間が残っているので、目の前の研修に集中しつつ、キャリアパスも考え直さないといけないなと感じる今日この頃でした。今できることは

❶1日でも早く独立して肝移植をできるように手術の修練に励むこと。

❷1例でも多く経験を積むためにプロキュアメントに数多く参加すること。

❸論文を読んで知識をアップデートし、豊富な症例数の中で珍しいものをケースレポート、ケースシリーズとして報告していくこと。

❹英語(会話力、プレゼン力)のブラッシュアップ

❺ラボミーティングに顔を出してネットワークと論文のネタ作り

 

1週間の休暇で頭を一度空っぽにして自分の現在値を考えることができたので、今何に自分の労力を集中すべきなのかが少し明確になりました。あとは、細かく到達度をチェックして、日々自分に足りないことを付け足していく作業に励みます。