自分はやりたいことをやっているから低収入でもしょうがない。
やりがいを第一に、お金は二の次。
この考え方は、武士は食わねど高楊枝的な、清貧を守る的な、とても潔い考え方だと思います。別にそういう考え方があってもいいとも思います。
でも、医者がお金の話をするのは卑しいことなんでしょうか?
低収入でもやりがいを追求することが美徳なのか。貴方はそれでもいいかも知れません。しかし、そんな貴方の姿を見た後輩たちが、果たして貴方の後を追ってくるでしょうか?後輩に自分の研究成果を伝えて、さらに発展させるためにも、私は後を追う者にとっても魅力的な環境作りをしなければいけないのではないかと思います。
それを怠った結果、外科系医師の志望者が減り、さらにその中で過酷な労働環境である特定の分野へ進む者がほとんどいなくなってしまった現状を見ても、何も問題を感じないのでしょうか。
若者が入ってこない?
激務薄給を嘆き、家庭を省みずに働く貴方達を見て、一体誰が同じ道を歩きたいと思うのかでしょうか?自分の業績でどれだけ金字塔を打ち立てたとしても、そこから裾野が広がり山にならなければ、いつかは金字塔ごと廃れて朽ち果ててしまうでしょう。なんという損失…
私は、お金のことを考える力がなければ、ライフワークは追求できないと思います。自分でお金を調達する能力は、大きな視点で見れば自分で自分のやりたい研究や臨床のインフラを構築する力だと言い換えることができます。今後、大学や組織に依存しない自分のインフラを持っているかどうかは、自分のライフワークを追求するための鍵になると思います。
参考文献
坪田一男著,理系のための人生設計ガイド 講談社BLUEBACKS

理系のための人生設計ガイド―経済的自立から教授選、会社設立まで (ブルーバックス)
- 作者: 坪田一男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/22
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